PROJECT
Daiwa御成門ビル解体祭 ~アートとテクノで最後のおもてなし~
都市テクノ×東京大学生産技術研究所 建築物の総合的保存保全に関する研究グループ×武蔵野美術大学 ソーシャルクリエイティブ研究所が共同で、「Daiwa御成門ビル解体祭〜アートとテクノで、最後のおもてなし〜」を開催し、2日間で延べ800名様にご来場いただきました。
2023年4月から建物の解体が決定している”Daiwa御成門ビル”で、建物に最後の感謝を伝えると同時に、アート(過去)とテクノ(未来)の‟2つの側面”からお世話になった地域の方々へ感謝の「おもてなし」をすることを目的としたイベントです。
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What kind of place?
東京都港区 御成門。東京タワーのお膝元として多くの観光客の集まる土地でありながら、
オフィス街として多くのビジネスマンが行き交う、歴史と自然が共存するエリア。
500年以上前、徳川将軍が参詣する際に増上寺の裏門を良く利用していたことが、
「御成門」の名前の由来になっている。
歴史あるこの地で、1973年の竣工当時の「秀和御成門ビル」から、2003年「ダヴィンチ御成門」、
2006年のは「Daiwa御成門ビル」という現在の名称までの50年間の間、
その時代の流れと共に多くのテナントを抱え、沢山の利用者に愛されてきた。
2006年からの「Daiwa御成門ビル」時代、ビル内にUCC本社が入っていたこともあり、
開かれた1階に「上島珈琲店が入っていたビル」として広く認知され、
東京タワーに訪れた観光客の休憩、ビジネスマンの打ち合わせ、待ち合わせや憩いの場所として、
御成門周辺にしてはあまり多くない日曜に開店していたこのビルは、地域住民にとって思い出深い場所であった。
内装に使用されている壁やタイル、エレベーターホールや階段などの随所に、
レトロでクラシカルなデザインが施されており、その中には密かに遊び心のある装飾が散りばめられ、細かな部分にもこのビルの愛される一面が垣間見える。
CONTENTS
1.「ふるまいマーケット」
50年間お世話になった街の人々へ、御成門ビルに入居していたテナント様を始めとする様々な方々からの出品物を無料でふるまい、精一杯のおもてなしをさせて頂くマーケット
2.「ペイント体験」
等身大以上に大きな壁や天井など四方八方をキャンバスに見立てて、 会場に訪れた人たちで感謝の気持ちを込めて絵を描いたり、 アート作品を作ってギャラリーにする参加型アート企画
3.「リングラフワークショップ」
人気の印刷スタジオ「Hand Saw Press」によるリソグラフという印刷手法を用いて、 皆から現在までの御成門ビル周辺の写真を印刷することが出来るワークショップ
4.「再生コンクリート技術展示」
弊社が、実際に解体されたものをどのように生かして残していくかという、 未来に向けた長期的な挑戦の第一歩として、東京大学生産技術研究所 建築物の総合的保存保全 に関する研究グループの協力のもと行われる、解体の廃材が新たなコンクリートになるまでの 「再生」の工程に触れることができる技術展示や、「再生コンクリート」のプレゼント企画
GALLERY
来場者様VOICE
- 建物とのお別れである「悲しい気持ち」を「感謝や楽しい」という前向きの気持ちに転換してもらえた
- 新しい技術に触れながら、未来に繋がっていく地球にやさしい取り組みを子供たちが学べて良かった
- ビルがどう解体されるのか、仕組みや考え方含め、子供たちはもちろん、大人の自分も「大切な気づき」になった
- コミュニティの在り方を考え直し、新旧の入居者との交流がこれからも続いていく未来に期待が出来た
協力者様VOICE
Kengo Hayashi
東京大学生産技術研究所 教授
解体祭当日の様子として、 家族連れや子供の参加者 も多く、通常の 「土木」 や 「建築」のイメージとは違う会場の雰囲気が印象的でした。 建物に絵を描いたり傷をつけることは普段ではあま り許されないことですが、 解体前の建物だからこそ、それらの自由が許され、 通常はネガティブなイメー ジがある 「解体」を魅力的にするという意味において、アートが持つ力の重要性を感じました。 「解体」は通常、終わりとしてのイメージが強いと 思います。 しかしながら、 今回の展示で提示した新たなコンクリート再生の技術によって、 今まで壊されて終わりだと思っていたものたちが、ここから新 しいものを作るための出発点になるということを見せられるというのがこの展示の特徴です。
Koichi Wakasugi
武蔵野美術大学 造形構想学部
クリエイティブイノベーション学科 教授
分業化されていく社会において人々は、 色々な物が作られ壊されていくということの本質を、 分からず に生きていると思います。 社会がより循環していく ためには、そういうプロセスに沢山の人が関わり、 知っていくことが必要です。 したがって今回の 「解体祭」では、御成門エリアに 馴染みのあるこの 「Daiwa 御成門ビル」 が、 どのよ うな経緯で、どんな現状で、 どういう風に建物が終わっていくかを、きちんと伝えていく為に、皆でお祝いをし、次の新しい再生に期待を込める集合体の デザインとしての 『お祭り』 をすることに価値があ ると感じました。 従来の解体という仕事は、見えな くするもの。 それを見える化し、 お互いに声をかけあう事のできる場を作れたことはとても良かったことだと考えています。
Hand Saw Rress
リソグラフの印刷機と木工の工具(のこぎり)があるスタジオ
建物をつくる時に地鎮祭っていうのはやると思うんですけど、逆に壊すときのそういうお祭りっていうのはないので、 切りロが斬新で面白いなと思いました。 建物を作った人や壊す人、大家さんだけで建物の最後を見守るのではなく、建物と町は繋がりがしっかりあるからこそ、地域の人が最後に参加して、 一緒に作る解体祭というのは、とても可能性を感じているので、この企画の立ち上がりに関われて良かったです。